(更新日:1998年10月19日)
電子音楽分野における標準化を着実に推進していくために、第8次工業標準化推進長期計画(平成8年)で示された「民間標準化活動の成果のJIS化」に沿った活動として、MIDI規格をJIS化制定すべく、平成8年〜10年、工業技術院から委託を受け、次の調査を実施し、平成10年3月31日、電子音楽標準化方針委員会報告書としてまとめた。これをもって、当委員会の任務は終了した。
1.調査目的
MIDI規格は、日本とアメリカとの電子楽器メーカによって検討が繰返された結果、合意を得て18年前に、民間事業者の任意規格として誕生した。
MIDI規格は、一種の通信プロトコルであるが、内容は主として、楽器の演奏情報のリアルタイムでの送受に関するもので、規格だけの一人歩きでは、解釈上の違いから問題が生じることがあり、検討機関が必要となり、また規格の中のエクスクルーシブ・メッセージのメーカIDの管理も必要になり、1983年(社)音楽電子事業協会の前身であるMIDI規格協議会が発足し、MIDI1.0詳解の作成や、定義の追加、変更などの討議がなされ、アメリカにあるMMA(MIDI
Manufacturers Association)との合意によって問題を解決してきた。
また、MIDIを使用する上でのアプリケーションに対しては、推奨案を意味するRP (Recomended Practice)と呼ばれるものの制定など行ってきた。その他、MIDIは音楽そのものに使用されるだけではなく、照明のコントロール(Show
Control) や録音・録画機器などのコントロール(Machine Control)などにも使われ、また近年一般にMPEG4と称される画像圧縮技法に関して、ISO/IEC
JTC1/SC29との連携も始まり、今後も益々応用範囲が広がることが期待されている。
MIDI規格は、その元々の役割であった電子楽器の制御プロトコルとしての活用はもとより、電子音楽用のソフトウエア、コンピュータ・ネットワークでやりとりされる音楽データの共通規格として、また、通信カラオケの送信データに至るまで、電子音楽の事実上の標準規格となっており、マルチメディアでの重要な規格として活用されている。
しかしながら、MIDI規格は民間事業者の任意規格であるために、その正しい規格の普及・促進に困難を生じているのが、現状である。
このために、電子音楽分野における標準化方針の検討調査や、JIS原案の作成調査、及び共通技術基盤の調査研究を行った。
2.調査実施概要
本調査研究を行うため標準化方針の検討調査、JIS原案の作成調査、共通技術基盤の検討調査に関して、次の項目の調査研究を行った。
2.1標準方針化の検討調査
電子音楽分野における現状の調査を踏まえて、標準化の方針を検討した。
2.2 JIS原案の作成調査
日本国内における業界規格(MIDI)を元にして、関連する公的規格、民間規格との整 理を含め、国際提案を視野に入れたJIS原案を作成した。
2.3 共通技術基盤の検討調査
電子音楽分野における今後の技術進歩・技術革新に向けて、関係者の共通認識となる技術基盤の確立を検討した。
3. JIS化の予定
この電子音楽標準化委員会報告書に基づき、平成10年8月および平成10年9月にJIS化審議がおこなわれ承認された。電子楽器ディジタルインターフェース(MIDI)第1部
総則 JIS X 6054-1及び電子楽器ディジタルインターフェース(MIDI)第2部 プロトコル仕様 JIS X 6054-2として平成11年1月制定の運びとなる予定である。